本記事で学べること
本記事では「%肺活量と一秒率って何?」、「換気障害分類の図はどう読み取ったらいいの?」といった疑問を解決していきたいと思います。
%肺活量
肺活量と%肺活量は名前は似ていますが、異なります。まずそれぞれの単位は肺活量は量なのでリットル(L)で、%肺活量はパーセント(%)になります。
そして、人それぞれ予測肺活量と呼ばれる年齢、性別、身長によって予想される肺活量があります。これも単位はリットル(L)です。それに対して実測肺活量と呼ばれる実際にスパイロメトリーで測定される肺活量があります。この肺活量は限界まで息をはいた状態から限界まで息を吸ったときの肺が吸える空気の量を表しています。
予測肺活量に対する実測肺活量の割合を示しているのが%肺活量です。つまり
%肺活量=実測肺活量÷予測肺活量×100 となります(×100しているのは%で表すためです)。
健常人では%肺活量は80%以上が基準値となりますのでこの値は必ず覚えておいてください。
1秒率
続いて1秒率について解説していきます。先ほどの%肺活量では肺が吸える空気の量というお話でしたが、肺の機能は吸える空気の量だけでなく、どれだけ一気にはき出せるかということも大事な指標になります。それが1秒率によって表されます。
まず努力肺活量と呼ばれる息を限界まで吸った後に一気にはきだしたときの量がスパイロメトリーによって測定することができます。そのときの最初の1秒間にはき出せた量が1秒量です。どちらも量なので単位はリットル(L)です。そして努力肺活量に対する1秒量の割合が1秒率と呼ばれます。つまり
1秒率=1秒量÷努力肺活量×100 となります(×100しているのは%で表すためです)。
健常人では1秒率は70%以上が基準値となりますのでこの値は必ず覚えておいてください。
換気障害分類
そして上記の%肺活量、一秒率から下図の分類をすることができます。
まず横軸に書いてある%肺活量のところを見ていただくと80%のところに縦線が引いてあります。これが%肺活量の基準値となるのでこれより高い場合はこの縦線よりも右側になります。
次に縦軸に書いてある1秒率のところを見ていただくと70%のところに横線が引いてあります。これが1秒率の基準値となるのでこれより高い場合はこの横線よりも上側になります。
これを元に分類していくと
%肺活量が80%以上、1秒率が70%以上であれば正常
%肺活量が80%以下、1秒率が70%以上であれば拘束性換気障害
%肺活量が80%以上、1秒率が70%以下であれば閉塞性換気障害
%肺活量が80%以下、1秒率が70%以下であれば混合性換気障害
となります。例えば気管支喘息では気管支の炎症によって息を一気にはくことが難しくなります。なので1秒率が低下する閉塞性換気障害に分類されます。
ご覧いただきありがとうございました。