研究者は結婚できないのか?これは昔から何度も取り上げられてきた議題だと思います。特にアカデミアで研究すると結婚するのは難しいのではないか?と思われがちな面はあります。研究者と言っても企業で行う場合とアカデミアで研究を行う場合がありますが、多くの方が心配しているのはアカデミア研究者が結婚できるのか?ということだと思います。研究者をとりまく環境も時代とともに変化してきていると思うので、今回は特に令和のアカデミア研究者は結婚できるのか?についてアカデミア研究者の立場から考察したいと思います。
なぜアカデミア研究者は結婚できないと思われているのか
そもそも研究者は研究が好きすぎて研究に没頭しており結婚に興味がない人が多いのではないか?と思われがちです。大前提として結婚する人生、しない人生どちらの価値観も受け入れられるべきとは思っていますが、研究者だからといって特別研究に没頭しすぎて結婚に興味がないというわけではありません。実際私の周りでもアカデミアの研究者だからといって特別結婚しない人が多いわけではなく、普通に結婚している人もいます。
そもそも令和の日本での結婚しない人の主な理由は何なのか
最も多くの理由として挙げられるのは結婚資金の問題です。また、職業や仕事上の問題という人も増えています。(出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ(https://www.ipss.go.jp/))
そこで研究者の結婚資金の問題、職業や仕事上の問題という視点で考察していきます。
研究者は経済的な面で結婚が難しいのか?
私自身もこれまでよく聞かれてきました。人それぞれな部分もあり、地域によっても違いがあるかとは思いますが、結論から言うとアカデミアの研究者が結婚するにあたって経済的に特別に問題があるわけではありません。SNSでは待遇が悪いことを強調して発信されていることも多く、全てが間違いではない部分もあると思いますが、若手研究者が皆結婚できないことはないです。
特に不安に感じられがちなのは雇用形態が任期付きであることが多いことです。これは私自身はそういう仕組みであることを理解した上でこの仕事を選んでいるので、過度に不安を感じているわけではないですが、これを結婚相手がすんなり受け入れられるか、というときちんと説明が必要な部分になってくると思います。
仮に30代以降で突然大学で働けない、となってしまった場合にそこから今まで全く関わることのなかった分野を開拓して新たな仕事を探すことは難易度が高いので、今までやってきたことを活かす形が良いとは思ってます。私の場合は、大学で研究をやれるだけやって、万が一雇用が継続できないという事態が発生した場合は自分だけでなく結婚相手の生活のためにも大学以外で大学での研究経験を活かせる仕事を探すか、臨床検査技師として医療現場や教育分野での仕事を探すことは選択肢の一つです。
万が一そうなった場合はどうするのか?という質問に対して結婚相手に対応案を示せることが大事だと思います。次の仕事につなげられる資格やスキルを身につけておくこともリスクヘッジにはなります。
働き始める年齢が遅いことは影響しているのか?
もう一つアカデミア研究者が結婚できないのか?について考慮しておくべき点はそもそも働き始める年齢が遅い、という点です。大学の学部4年間、修士2年間、博士3年間で最短でも27歳からしか働き始めることができません。ただし、最近になって博士課程学生への支援制度が拡大してきた部分もあり、十分とは言えないですが、収入がある場合もあります。そのため大学院生の間に結婚した例も聞きます。この辺は今後時代とともにさらに変わってくるかもしれません。
また、実際アカデミアで研究をしている身として、結婚のタイミングには迷うことはあります。これについては【研究者生活2年目】アカデミア研究者の過ごし方とライフプラン(結婚のタイミングについて)でも書いております。
現在の日本の平均初婚年齢は夫31.1歳、妻は29.7歳です。早い人は18歳から働き始め、大学院の修士を卒業した人は最短で24歳から働き始めます(出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html))。24歳から働き始めたとすると夫は働き始めて7年程度で結婚するのが平均値ということになります。一方で博士卒の人は最短で27歳から働き始めますので、平均初婚年齢を指標にするなら夫であれば4年程度で結婚という計算になります。
私自身は留年も経験し(詳細は下記)、さらに働き始めるのが遅れたということもありました。
博士課程留年が決まって思うこと①
博士課程留年が決まって思うこと②
博士課程留年の1年間のまとめ
博士課程の間はとても忙しく、論文執筆にも追われて、結果的に博士課程卒業後から結婚について考え始める場合も多々あります。ただ、そうであったとしても遅いとは思いません。付き合ってから結婚するまでの期間を長く取りたい場合は別ですが、1,2年で結婚する方も普通にいます。
このことからも働き始める年齢が遅いことが結婚に大きな影響を与えることはないと思います。
時間がないのか?
研究が忙しすぎて結婚する時間、結婚の準備を進める時間がないのではないか、という問題も気にされる方もいると思います。私も振り返ってみると特に博士課程に入ってからは忙しすぎて確かに心に余裕がなかった部分もあったとは思います。どうしても研究の性質上、土日も大学に行く必要が出てくることはあります。ただ全く休みがないというわけではなく、忙しい時期と少しゆったりしている時期があるので、自分でどういう形で休みを入れていくかを計画していく必要があります。そういう仕事であることを結婚相手に理解してもらうことは必要になってきます。
進んでいくことにやりがいを感じる一方でワークライフバランスをどう取っていくかは慣れるまでは私も大変でした。研究を進めたいがばかりに忙しくなりすぎてしまうと捉えるとデメリットに感じますが、自分で日々の仕事内容を決めていくことができるのはメリットであり、それに合わせて結婚に向けて準備を進めていくことはできます。つまり特段アカデミア研究者に結婚の時間がないということもありません。
まとめ
令和のアカデミア研究者も結婚は可能です。今回は主に研究者という仕事の性質上よく心配される「経済的な面」、「年齢」、「時間」という観点で考察しました。他にも研究者と結婚というテーマで疑問や懸念点について気になることあればブログかXでコメントくだされば考察したいと思います。
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